ベルヌーイ分布と二項分布の関係性についてみていく。
独立同一にベルヌーイ分布に従う確率変数の和が二項分布に従うことベルヌーイ分布の特性関数を利用し証明する。
ベルヌーイ分布と二項分布の確率質量関数と特性関数については、以下を参照されたい。
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ベルヌーイ分布の和の分布
独立同一にベルヌーイ分布に従う確率変数の和の分布についてみていく。以降、\(X_1, X_2, \ldots, X_n,\ i.i.d.\sim \mathrm{Bernoulli}(p)\)とする。このとき、\(X_i\)は次の確率質量関数と特性関数をもつ。
ベルヌーイ分布の和の分布
パラメータ\(p\)の\(n\)個の独立なベルヌーイ分布の和の分布は、次に示すようにパラメータ\(n\)、\(p\)の二項分布に従う。
ベルヌーイ分布の和の分布
ベルヌーイ分布の和\( Y = \sum_{i = 1}^n X_i\)は次の確率質量関数をもつ。
すなわち\(Y \sim \mathrm{Bi}(n, p)\)である。
ベルヌーイ試行は確率\(p\)で成功し\(1- p\)で失敗する事象であるため、その和は成功の総数、すなわち二項分布となることが分かる。このように直感的にベルヌーイ分布の和が二項分布に従うことが理解できる。
証明
ベルヌーイ分布の和が二項分布に従うことを厳密に証明する。\(X1, X_2, \ldots, X_n\)は独立同一にベルヌーイ分布に従うので、確率変数の和の分布より、\(Y = \sum_{i=1}^nX_i\)の特性関数は
よって\eqref{eq1}より
2行目の等号は二項展開を用いた。\eqref{eq2}の\(e^{itk}\)の係数
は二項分布の確率質量関数である。故に、\(Y\sim \mathrm{Bi}(n,p)\)である.□
ベルヌーイ分布と二項分布の関係
ベルヌーイ分布は二項分布の特殊なケースであることを確認する。\(Y \sim \mathrm{Bi}(n, p)\)の確率質量関数
に\(n = 1\)を適用すると、次を得る。
ここに\(\delta_{ij}\)はクロネッカーのデルタである。上式の右辺は次のベルヌーイ分布の確率質量関数と同値である
パラメータ\(n=1\)の二項分布\(\mathrm{Bi(1, p)}\)はベルヌーイ分布\(\mathrm{Bernoulli}(p)\)であることが分かる。