重み付きの平均である加重平均について解説する。
加重平均の定義やその具体的な計算例や用い方について詳しく見ていく。
R言語での加重平均の計算については以下の記事を参照。
【R言語】加重平均の計算 重み付きの平均 記述統計
R言語で重み付きの平均である加重平均を計算する関数やその使用例について紹介していきます。 実行例では、加重平均の具体的な計算例について見ていき、どのような場面で用いられるのか理解を深めていきます。 こ ...
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算術平均(相加平均)・幾何平均(相乗平均)・調和平均
記述統計で用いられる加重平均を紹介する。
加重平均はWeighted arithmetic meanと呼ばれ、名前の通り算術平均に重みが付いたもので定義される。
各データの重要度を考慮した算術平均を求めたいときは、加重平均の方が適している。
加重平均の定義は以下の通り。
加重平均
\(n\)個の標本\(x_1, x_2, \ldots , x_n\)と重み\(w_1, w_2, \ldots , w_n\)に対し、加重平均は次で定義される。
加重平均は重み付きのデータの和を重みの和で割ったもので与えられる。そのため、重みが全て等しいとき、すなわち\(w_1 = w_2 = \cdots w_n\)のとき、加重平均は算術平均と一致する。
計算例
続いて加重平均の計算例について見ていく。
加重平均の扱い方が分かりやすいように計算例を2つまとめました。
計算例1
次の商品A, B, C, D, Eの数と価格についてのデータが与えられているとする。下の画像は、これら5つの商品の価格と数に関する棒グラフである。
種類 | 数 | 価格 |
A | 1000 | 100 |
B | 2000 | 150 |
C | 1500 | 300 |
D | 1750 | 200 |
E | 500 | 400 |
A, B, C, D, Eの5つの商品の1個あたりの価格を求めるときは、次のようにそれぞれの商品の価格に数を掛けた和を全商品の数で割るのが普通である。
これは、次の式で示すように商品の数を重みにした加重平均となっている。
計算例2
他の加重平均の例も紹介する。
次の5人の中間テストと期末テストの点数に関するデータが得られたとする。下の画像は各5人の中間テストと期末テストの点数の推移を表している。
ID | 中間テスト | 期末テスト |
1 | 70 | 80 |
2 | 50 | 60 |
3 | 80 | 70 |
4 | 90 | 60 |
5 | 30 | 100 |
中間テストと期末テストの点数から成績を決定する際に、中間テストよりも期末テストの方を重視して成績を計算することがよくある。例えば中間テストと期末テストの点数の比重を3対7としたとき、5人の2期の点数の平均は次となる。
期末テストの点数の比重が高いため、5人目のように中間テストの点数が悪くても期末テストの点数が高ければ他の平均よりも高くなるのが見てとれる。中間テストと期末テストの点数の平均は、テストの点数の比重を重みにしたときの加重平均となっていることが分かる。例えば、1人目の中間テストの点数を\(x_1\)、期末テストの点数を\(x_2\)、各テストの比重を\(w_1, w_2\)としたときに、加重平均は次となり上式の値と一致しているのが確認できる。