ラプラス分布の確率密度関数について解説する。
ラプラス分布の確率密度関数の紹介や、正規分布の確率密度関数からラプラス分布の確率密度関数の導出を行う。
ラプラス分布の分布関数については以下の記事を参照されたい。
ラプラス分布の確率密度関数
ラプラス分布の確率密度関数は次で与えられる。
ラプラス分布の確率密度関数
\(X\)を位置パラメータ\(\mu\)、尺度パラメータ\(b\)のラプラス分布\(Laplace(\mu, b)\)に従う確率変数とする。\(X\)はつぎの確率密度関数をもつ。
ラプラス分布は両側指数分布ともいわれるように、位置パラメータ\(\mu\)を中心に左右対称に指数分布の確率密度を持つ。\eqref{eq1}から分かるように、\(\mu\)以上の確率密度は同じ尺度パラメータの指数分布の確率密度のスケールを\(1/2\)にしたものである。また、位置パラメータ\(\)、尺度パラメータ\(b\)のラプラス分布に従う確率変数を\(X\)とすると、絶対値\(|X- \mu|\)について次が成り立つ。
上式はラプラス分布の絶対値は、指数分布に従うことを意味する。この証明についてはこの後行う。
指数分布との関係
ラプラス分布と指数分布の関係について見ていく。
上で述べたようにラプラス分布の絶対値は指数分布に従うことが知られている。位置パラメータを中心に左右対称に指数分布の確率密度をもつことを確かめる。
\(X\)を位置パラメータ\(\mu\)、尺度パラメータ\(b\)のラプラス分布\(Laplace(\mu ,b)\)に従う確率変数とする。このとき、\(X\)は次の確率密度関数を持つ。
\(Y =|X - \mu|\)の確率密度関数を得るために、\(y = |x -\mu| \)の変数変換を考える。\begin{align}& y = |x - \mu| \\ & \Leftrightarrow x = \left\{ \begin{array}{cc} y + \mu, & x > \mu,\\ - y - \mu, & x \geq \mu\end{array}\right. \end{align}であり、この変換は1対1対応でないことがわかる。そのため、\(x \geq 0\)であることを仮定し、\(x = y + \mu\)とする。この変換のヤコビアンは
となる。また、確率密度関数の対称性から、\(x \geq \mu \)の密度を2倍にさせることで\(x\)が正負の2通りの密度を一意に変換することが可能となる。したがって変数変換より、次の\(Y = |X|\)の確率密度関数を得る。
これはパラメータ\(b^{-1}\)の指数分布の確率密度関数である。\(|X - \mu| \sim Exp(b^{-1})\)であることが示された。